2017年10月17日火曜日

オルフェイスの碑文より


魂とは値打ちのあるものだ。
夜明けにきいんと一直線にやってきた響きは、
遠い場所、古代希臘からだった。
それは数日前、宇都宮の寺院の壁に張られた案内に見かけたものでもあった。

紀元前5世紀の、
オルフェイス教団の金の板の碑文が、近年次々と、
トリオイ、ヒッポニウム、テッサリア、クレタで発見された。
碑文に記された死者への言葉は、
迷路に陥らないための言葉。

 冥界に降りたとき、
 レテの水(忘却)ではなく、
 ムネーモシュネーの泉の水 (記憶)を飲むように。
 番人に次のように告げなくてはならない。
 「私は大地と星空の息子。
 喉が渇いたので、
 ムネーモシュネーの泉から、
 何か飲むものを、私にください」

古代宗教の字義はすべて、
現実だったという前提で読み込むことが肝要ではないか。
「譬え」と軽んじてはならぬ。
どの宗教にも指導する存在はある、のも前提ではないか。
碑文から何か、大切なものを読み取らねばならない。
次の碑文にもだ。

 われは星影清き蒼穹と大地の子なれども
 わが属するは、天の種族なり。
 おんみら自ら知り給うごとく。

魂は天に由来する。と書いてある。
オルフェイス教の教えは、
霊魂は神性と不死性を持つ。
悲しみの輪、という輪廻転生を繰り返す。
しかし、転生を解脱する秘儀がある。
生前の罪と死後の罰。
など。

井筒俊彦の「神秘哲学」の一文「輪廻転生から純粋持続」によると、
その秘儀は、「オルフェイス的生活法」と呼ばれた。
禁欲と清浄な戒律。
やがて引き継いだピュタゴラス教団では、
数学研究もまた、魂の浄化の方法として。

パルメニデスの詩歌発想の方法についてはまた別の機会に。






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