2017年2月25日土曜日

橄欖色

Helleborus(Christmas rose)

サンドロ・ボッティチェリの「春」の
ペリドット色の空や
女神の羅(うすもの)の微かな橄欖色に
惹きつけられたあと
同じ色を、
本郷の道具屋の店先の、
硝子の器の鈍い光の中に
ふたたび見出したことを書いているのは、
森茉莉のエッセイ集「私の美の世界」(森茉莉全集)の
「夢を買う話」だ。

森茉莉の、死ぬまで一人で、
引きこもるように暮らした家は、
うつくしいモノであふれた、
ひとつのうつくしい小宇宙だったそうだが、
森茉莉がどのようにモノと出合い、
執着し、さらにどのように40字×30行のエッセイで、綴り続けたかは、
興味深い学びだ。

さりげない話であれ、
美の端緒は、
いろんなところに落ちている。
落ちている美にたくさん気づく人生は、
実は幸福なのだ。
作業は、落ちている美を拾い、言葉に転換することだ。

ペリドットという隕石の粉が顔料になって、
サンドロの空の色に、
うつくしいうすものの橄欖色に、
生まれ変わっている宇宙の働きを
森茉莉は敏感に察知し、
受容している、のかもしれなかった。

森茉莉は「硝子工房の一室」でも、
半透明の薄緑色、に触れている。

 綺麗な壜を、
 窗際に置いて
 凝と見てみなさい。
 半透明な薄緑色の中に、
 何かが見えるでしょう。











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