2017年1月10日火曜日

らむ



 らむ。

見えないところで
現在起こりつつあることを推量する
助動詞。
眼前の事実を踏まえて使用されるときは
それが何か、と
原因や理由を推量する。

のどかな春の日だというのに
さゐさゐと落ち着かぬまま
はなが散り急ぐのは
宮坂静生の言うように
凶作のきざしであったか。

あるいは
はなに見放されたかのような淋しさに
身に引き付けて
個人としての紀が
これから身に起こる出来事を
どこかで予兆していたのか。

都に「やすらひ」といふ祭がある。
はなの散るころのゆうぐれになると
鬼が跋扈しはじめる。
それを追い払う祭だ。
鬼がまもなく山からやってくるのだ。
多田一臣のいう「花の狂気」が
市中に蔓延するを恐れているのだろうか。

はなが散ればこころは沈むだろう。
淋しさは避けられそうもない。
こころは受け入れることができないでいる。
季節の大きな巡りへの畏れ。
現代人よりもはるかに季節に影響を受けていたのだろうか。
むしろそうだ。
季節が変わる一閃の落下を感じることを、きっと季感と呼ぶ。

しづごころ。
それにしても
漢語の和訳か
大和言葉同士の造語か
どこか落ち着かない。

 ひさかたの
 ひかりのどけき
 春の日に
 しづごころなく
 はなのちるらむ











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