2016年10月5日水曜日


  
 雨そぼそぼ 辻蝋燭に 草の花      蘭更

開発が進めば、辻はなくなる。
しかし、幻視のように、そこに確かにあった過去の地形、辻が見える。
作家の古井由吉はそれを、既視感を覚えたからに違いない、と書く。

 だれでも意識下にあると思う。
 その土地に流入してきた人間で、
 そんなに長い年月が経っているわけではないし、
 土地の由来も知らないけれども、
 かつての辻らしいところに来たのだと感じるのは、
 どうも既視感のせいらしい。
 一瞬、デジャビュが濃厚になるらしい。(文藝2012,夏)

白川靜の「字統」によると、
辻は十字路であって、
古くは「つむじ」と訓されている。
日本の辻は町はずれにある。
他所の人間がそこから入ってくる。
あの世も含めて、異境の人間たちと出会う場所という。













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