2016年9月16日金曜日

露伴



中村草田男の代表作は本歌取りだった。

    万緑の中や吾子の歯の生えそむる

は、あろうことか服部嵐雪の句だった。
 
    竹の子や児の歯ぐきのうつくしき    (「炭俵」より)

嵐雪の句はさらに、本歌取りだった。

    源氏物語横笛巻、薫の君の児なりしとき筍を食するさまを―。

と露伴が「評釈炭俵」で注釈していた。
代表作が本歌取りだったことを、
俳句界の人々はどう受け止めるのだろう。


幸田露伴の「評釈----」は芭蕉七部集すべての句に、注釈したものだ。
加藤郁乎は「江戸俳諧」そのほかで、
露伴の俳諧研究の姿勢を賛嘆していた。

正岡子規の東京帝国大学時代の分類俳句大観の膨大な分類考証とともに
屈指の強脳の露伴が、知におぼれず、
七部集の逐語的考証を行っていたことを、
後代俳人は学ぶべき、と書いていたが、そう思う。

実作を前にした俳諧研究は、復本一郎のいうように、
地味で、途方もない努力の、積み重ねなのだ。
新しい「視点」を発見しようとする意欲だ。
「視点」は「表現の新しさ」につながる。




















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